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この道は いったいどこまで続いているんだろう


私は・・・ どこに 行けばいいんだろう


彷徨う  心  ひとつ





私は 何のために 生まれてきたんだろう


私は どうして 此処にいるんだろう

人と人の出逢いって不思議やね


友達が言うてた

人はええことも 悪いことも どっちも運んでくるって。


ほんまやな


人間なんか 付き合うてみなわからへん

どんなええ人やって言われてる人でも

実際 腹の中でめっちゃえぐいこと考えてる人おるし

評判悪うても 腹割って話したら感嘆する人もおる

上辺だけじゃ 人はわからへん

ねぇ

私はあなたにとってなんだったの?


解らなくて 首を傾げる


「あの時 あの頃

二人は確かに恋をしていたよ

何も知らないうちが気付くほど

二人には違う空気が流れていたよ

ただ

時間は流れていくし

人の心は変わって行く

終着駅が違っただけ」


その言葉が妙に説得力があって

自分の中の疑問も憔悴間も飛んでしまった

つまらないことで立ち止まっていたなって

なんだか自分が滑稽に思えた

そうだね

時間は確かに今も流れていて

人の心も変わっていってるよね

私は どんなふうに変わっていくんだろう

私は どんなふうに変わっていけばいいんだろう

ずっと 辛かった

ボロ雑巾のような心を引き摺って

それでも 私は  笑うしかなかった

「私は大丈夫  

 ずっと ひとりで頑張ってきたんだから

 これからだって大丈夫

 私は大丈夫

 私は強いから」


呪文のようにそう言い聞かせてた


私には子供がいる

どんなに辛くっても どんなに悲しくっても

子供達の前で涙を見せるわけにはいかなかった


私が泣ける場所は お風呂場しかなかった

「あなた 自分のことが好き?」

「あなた 自分を誉めてやってる?」


そう聞かれて  言葉を失った


そんなふうに 考えたことなんかなかった

いや むしろ 私は自分のことが嫌いだった

誉めるどころか いつも自分を責めたてていた

私の中ではそれが当たり前だったから

自分を犠牲にして 人の為に尽くしても

結果がまずくなったら いつも私が悪いと言われた

どんなに どんなに頑張っても

それでもまだ 努力が足りないからだと言われた

だから 私は 

自分は決して人からは認めてはもらえない つまらない生き物だと

自分は卑下されて当然の生き物だと そう思ってた



「あなた いつも笑ってるわねぇ。 ステキだわよ

 でもね 笑ってるはずのあなたの瞳が 泣いてるように見えるのは 

 あたしの気のせいなの?」



息が止まった

なぜ このひとは 涼しい顔をして 私の痛いとこばかりをつつくのか

ずっと 隠し通してきた私の素顔を

いとも簡単に見破ることが出来るのか


そう。

私は ホントは 泣きたかった

「あなた えらいわねぇ

 あなた よくひとりでここまで頑張ってきたわねぇ

 自分で自分の頭を撫でてやらなきゃね。と言っても 

 今のあなたじゃできないでしょうから

 そうねぇ

 あたしが変わりにあなたの頭を撫でてあげるわよ


 これからは あたしがあなたの側にいて

 あなたを誉めてあげるわよ



嬉しかった・・・


そんな風に労われたことも

ましてや

頭を撫でられたことなんて  今まで  一度もなかった

子供の頃でさえ  なかった


泣けた


あなたは 私の肌に刻まれた刺青の意味をも見破り  呟いた

「辛かったな」

頑なに閉ざされ 錆び付いたはずの心の扉が

開けられようとする音を 聞いた

真っ暗で 長い長いトンネルの向こうに

ほんのりと点る 灯りを 見つけた